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佐藤可奈子 |
こんにちは。佐藤可奈子です。 ときどき、こんな感情が湧いてくるのです。
「あら、困ったわ…甘いものが食べたいわ…」
農作業をしていると、甘いものを身体が欲するのです。 この奔放な欲望をどうしたらいいだろう…。 そんなとき、水路のメンテナンスに集落の方と行ったときのこと。
「おい、このひょいと出てるのは、カエデだよ」
「えっカエデですか」
そこには確かにカナダの国旗で見たことのある、あのカエデマークの葉を付けたひょろ長い芽が。
そのとき、はらぺこかなこは瞬時にこう気付いたのです。
(ちょっと待って、カエデってメープルのことだよね?メープルってことは…)
(パンケーキ!!)
その話をすぐさま師匠・橋場さんに話しました。
「カエデがあるってことは、もしかしてメープルシロップがとれますよね?」
「ああ、そうだな。カエデの樹はいっぺあらんだが、そう言えばシロップを採ろうなんて、やったことないなぁ」
「えっ、いっぱいあるんですか!ちょっ、道具とか採り方とかすぐ調べるんで、もしよければチャレンジしてみませんか…」
「ああ、いいとも」
いいともキター! 疾風のごとく家に帰り、その話を夫に興奮気味で話すと、現代人の素晴しきツール、グーグル先生に聞いてみました。
それによると、
ということが分かりました。 またyoutube先生からは、丁寧にもメープルシロップ採取の動画もいくつかアップされてありました。それを何度も確認しながら、採取装置を確認。 装置は意外とシンプル。
さて、山に行こう。 思いついたら、すぐ行動できるのが山の良さです。
田んぼ作業のあと、橋場さんを誘い、カエデがある場所へ。
日はゴールデンウィーク。 例年ならば、GWにはまだ雪が残り、去年は農道さえ開いていなかったけれど、今年は暖冬。GWと言えども、すっかり雪もなく、初夏のようで、樹液が出るには遅すぎのようでした。
「たぶん、だめかもね」
そう言葉を交わしながら、山道を行きます。
「これだよ」
「もみじと似てて、違いが全然分からないのですが…」
「もみじはギザギザが細かい。カエデは大きいだろう」
「ほう」
そう言って、橋場さんはカエデの葉をポキリと折りました。
「カエデのほうが、あさちゃんのお手てみたいだね」
さて、樹に夫の大工道具「インパクト」で穴をあけ、チューブを取り付けます。 「意外と簡単!」(ほぼ夫がした)
「でもからっからだね」
「うーん……(心折れ気味)」
「ひとまず1週間後、また見に来よう」
池谷の一番上にある畑。ここからは集落が一望できます。 まぶしいほどの夕日に照らされながら、移住1年目のころ、ここで大豆と小豆を育てたのを思い出しました。
(山は知れば知るほど、豊かだなぁ…。まだ知らないことだらけだ)
さて、一週間後。 東京から田植えに来た皆さんと一緒に見にいきましたが、ペットボトルの中には雨らしき滴が1滴あるのみ……。
「1年に1回しか実験ができないのが、農業。次は雪がまだ残っているときに、一緒に行こう」
1年という大きなサイクルの中で、「いまこのとき」という、1回しかない適期(瞬間)があるから、いつのまにか季節を追いかけ、気付けば年数を重ねている。 だから、やめられないこの暮らし。 来年のリベンジを心に誓ったのでした。
「次こそパンケーキ!!!」 (そこか…)
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